すい炎すい炎

A.すい臓の 位置とその働き                      (さとう胃腸科クリニック:佐藤忠比古

1)すい臓の大きさは15cm, 幅3cm, 厚さ2cmで、胃の陰に位置してます。(図1)  

 2)すい臓では膵液が分泌され膵管に集まり、胆管と合流して十二指腸に分泌されます。         

    膵液がすい臓を消化する機序は、膵液が食事の刺激で多量に分泌して発生する。( すい炎発生機序 )        3)すい臓の分泌は胃液の塩酸が十二指腸にきて腸粘膜を刺激することで起こります。                    4)すい臓は外分泌機能と(腸に分泌する)、内分泌機能(ホルモンを血液内部に分泌する)があります。             a) 外分泌機能( すい臓の分泌液を十二指腸に膵管を通して出す機能 )としては                      ①炭水化物分解酵素アミラーゼ、                                            ②たんぱく質分解酵素トリプシン、                                           ③脂肪 分解酵素リパーゼ。                                                膵液はアルカリ性で胃液の高酸度を中和し消化酵素の働きを可能にします。b) 内分泌機能としては ( すい臓は下記の3種類の物質を、十二指腸に出さず、血液に出します。)                        

    ①インスリン(血糖低下)                                               ②グルカゴン(血糖上昇)                                               ③ソマトスタチンは血糖のバランスを取ります。

文献https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada015.html

文献 https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-

 




2.急性すい炎     

   膵液(肉を溶かす性質)がすい臓を溶かして(破壊)する病気です。                     

破壊された部位からでた膵液が内臓を(腸、腎臓、肝臓、横隔膜、肺)破壊します。内臓破壊となり死の危険が起こります。)

同時に、血液と浸出液が多量に出ます。( 血圧低下が起こり、一晩で死亡した方もいました。)救急搬送必要                                     

1) 原因                                                    

① .膵液を多く分泌させる食事は、男性は主にアルコールの飲みすぎ、女性は脂肪食、大食があります。         

② 膵管の通過障害によりすい臓内膵液が活性化されて発生する二通りあります 。                  

  すい石、胆石が女性に多く見られます。                               

③ 原因不明群を特異型としています。 ( 経験上、仕事熱心な女性に多くみられます。)

 



).症状
 ①腹痛は左季肋部におこり、脂肪の多い食事、大食または、アルコール摂取して3~4時間後に強い腹痛が起こ  ります。腹痛は更にひどくなると背中にとおしていたみます。


クレンペラー著;内科診断学(1914、ドイツ)
   出月康夫著;臨床医のための内科診断学
   胆石で膵炎が発生すと痛みは右季肋部で、膵管の出口周辺がいたみます。                  すい臓痛の特徴;自発痛は強く、腹部の上からおす圧痛みは軽度である。
   この不思議な現象は、膵臓は腹部深部にあり、深部には腹部神経節(大きな神経節で、別名:太陽神経叢)   (腹腔動脈が左右に分枝、左胃動脈と脾動脈上に左右あり、第一腰椎付近))が近くにある。すい臓に接し   ているため、すい臓のわずかな変化(炎症刺激)も直接腹部神経節は敏感に痛みと感ずると考えられる。     (自分で感じる痛みは強く感じる)  一方、腹の上からの臓の上にある胃が圧を弱めるので圧痛が軽度    になる。( 外からに刺激には痛みは強く感じない。) そのため、「大げさに痛みを訴えてい。」と誤解されることあります。


 ②.食思なく、腹部膨満、吐き気、発熱、脱水状態となり、血圧低下(危険状態;救急車必要)も起こります。   臓器不全から死の危険も生じ、すい炎は早期診断、治療が重要です。  
3)血液検査 
 ①血液、尿中の膵酵素一般にはアミラーゼ。                                 アミラーゼはすい臓以外に唾液由来もあり、鑑別必要です。                         すい炎発病後12~72時間で上昇し、最高値の半減期が2時間で、偽陰性の結果が出やすく、発症5日後は    70%が基準値にもどる。(軽症では異常値が見られないことが多い)(https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=106)

 ②リパーゼ(アミラーゼより感度が高い)
 ③エラスターゼは上昇率はアミラーゼ、リパーゼより低いが、高値が正常化するまで2~4週間かかります。                   (日本医師会雑誌 第135巻・特別号(2)P124~131)
4)画像による診断   
 ①超音波診断、すい臓全体が浮腫となり、通常より大きくなります。 ( 軽症の初期では、見られない。) 
 ②X線検査、膵管造影により膵管の形状で診断します。 ( 軽症の初期でははっきりしない。)  
 ③CT,MRI検査、膵臓の腫大、膵臓の外縁、不正の存在の有無、膵管の拡張、異常が診断されます。(軽症の初期では異常見られず、ある程度病勢が進んだ方に異常が見られます。

 
5)治療。
  急性すい炎は80%の方は軽症経過をとりますが、20%は重症であり、入院治療が必要です。

 ①外来治療 (軽症例)  
  a)膵酵素抑制剤の点滴治療 ( フサン、FOY )と経口投与( フオイパン、カモスタット )(膵酵素抑 制剤の点   滴治療により、点滴中から徐々に鎮痛されてゆくのが感じられます)。       
  b)胃酸分泌抑制剤(胃液が膵液を分泌するため、胃液分泌抑制)      
  c)3日間の粥食。     
    その後も「やわらかな普通食」「普通食」に勧めます。             
 b) 胃酸分泌抑制剤
 c)絶水食ですい臓を休ませます。                                                    
 すい臓の回復につれて「おもゆ」「粥食」「やわらかな普通食」「普通食」に勧めます。                  これらは軽症例の治療で、上記の治療 を2週間の入院治療を行います。   
 重症は1~3月の入院治療必要となります。                                        重症治療については臓器障害とその程度により、異なるため省略します。   
6)治療後の養生    
  急性すい炎が治癒されても、膵臓に負担をかけない食生活が必要とされます。                        その期間は6カ月から一年を禁酒、禁煙で食事には、脂肪食をさけ、大食ストレスを 発生させないような生活をすることが望  まれます。       
   腹痛以外に下痢もおこります。(下痢便は不消化の脂肪)の下痢が肛門、肛門周囲の皮膚をびらん状態にします。)